【必読】NBAデータ分析のためのアドバンスドスタッツ解説
始めに
このページではNBAで使われるより高度なスタッツについて説明をする。
応援するチームや選手において、ここに登場するスタッツがどのようになっているかを知ることで、よりNBAを楽しむことが出来る手助けになれば幸いである。
ORtg
【名称】Offense Rating:オフェンスレーティング
【説明】100ポゼッション当たりの得点。
計算方法
$$ \displaystyle ORtg = \frac{PTS}{POSS} \times100 $$
- PTS:Points (得点)
- POSS:Possession (ポゼッション)
平均得点と違いポゼッション数を揃えることでオフェンス効率を測っている。
この指標が高いと効率よく点を取っていることが分かる。
同じ得点でもポゼッションが少ないということは効率よく点を取っていることになる。
【例】
チームA:110ポゼッションで110得点
⇒ ORtg:100
チームB:100ポゼッションで110得点
⇒ ORtg:110
DRtg
【名称】Defense Rating:オフェンスレーティング
【説明】100ポゼッション当たりの失点。
計算方法
$$ \displaystyle DRtg = \frac{OppPTS}{POSS} \times100 $$
- OppPTS:Opponent Points (相手の得点)
- POSS:Possession (ポゼッション)
100ポゼッション当たりの平均失点。
平均失点と違いポゼッション数を揃えることでディフェンス効率を測っている。
この指標が高いと効率よく点を取られていることが分かる。
同じ失点でもポゼッションが少ないということは効率よく点を取られていることになる。
【例】
チームA:110ポゼッションで110失点
⇒ DRtg:100
チームB:100ポゼッションで110失点
⇒ DRtg:110
Four Factors
【説明】チームがどれだけ効率よくオフェンスをしているかの目安となる下記の4つの指標のこと。
- eFG%
- OREB%
- FTr
- TOV%
自チームのポゼッションの終わり方は大きく分けて下記の4つに分類できる。
- シュートが成功
- シュートが失敗しOREB(or DREB)
- ファールを受けてFT
- TOV
つまり、4つの指標はそれぞれポゼッションの終わり方の良し悪しを数値化したものとなっている。
- シュートが成功 ⇔ eFG%
- シュートが失敗しOREB(or DREB) ⇔ OREB%
- ファールを受けてFT ⇔ FTr
- TOV ⇔ TOV%
4つの指標を分析することでチームのオフェンスの良し悪しを測ることが出来る。
そこから自チームの強みを理解していかす戦術を取り入れたり、相手チームの強みを理解して対策を取ったりということが検討できる。
eFG%
【名称】effective Field Goal percentage:有効フィールドゴール成功率
【説明】3ポイントシュートを考慮したフィールドゴール成功率
計算方法
$$ \displaystyle eFG\% = \frac{2PM+1.5\times3PM}{FGA} \times100 $$
- 2PM:2Point Field Goal Made (2ポイントシュート成功数)
- 3PM:3Point Field Goal Made (3ポイントシュート成功数)
- FGA:Field Goal Attempt (フィールドゴール試投数)
シュート成功率なので基本的にはシュート成功数をシュート試投数で割った数値である。
一般的なフィールドゴール成功率(FG%)は2ポイントシュートと3ポイントシュートの価値を同じにしている(\( FG\% = \frac{2PM+3PM}{FGA} \times100 \))。
それに対して、eFG%では3ポイントシュートに対して1.5倍点数を取れることから重みをかけて価値を高くしている。
こうすることで3ポイントシュートの価値をしっかりと数値に反映することが出来る。
この数値が高ければ3ポイントシュートを考慮したうえでシュート成功率が高いということになる。
OREB%
【名称】Offense Rebound Percentage:オフェンスリバウンド率
【説明】チームが獲得可能なオフェンスリバウンドの内、どれくらいをオフェンスリバウンドに出来たか
計算方法(チーム)
$$ \displaystyle OREB\%(Team) = \frac{TeamOREB}{TeamOREB+OppDREB} \times100 $$
- Team OREB:Team Offense Rebound(自チームのオフェンスリバウンド数)
- OppDREB:Opponent Defense Rebound(相手チームのディフェンスリバウンド数)
自チームがシュートを外したとき、①自チームのオフェンスリバウンドとなる②相手チームのディフェンスリバウンドとなるのどちらかである。
つまり、①と②の合計が”獲得可能”なオフェンスリバウンド数の総数となる。
この数値が高ければ自チームのポゼッションを増やし、相手チームのポゼッションを減らすことが出来るという点でオフェンスの良さの指標になる。
計算方法(選手)
$$ \displaystyle OREB\% = \frac{\frac{TeamMPG}{5}}{MPG}\times\frac{OREB}{(TeamOREB+OppDREB)} \times100 $$
- Team MPG:Team Minutes Per Game(チームの合計出場時間)
⇒NBAでは基本48×5=240だが、OT(Over Time:延長)に入ると増える - MPG:Minutes Per Game(対象選手の出場時間)
- OREB:Offense Rebound(対象選手のオフェンスリバウンド数)
- Team OREB:Team Offense Rebound(自チームのオフェンスリバウンド数)
選手のOREB%では対象選手の出場時間を考慮するため、OREB数が同じでも出場時間が短ければ数値が高くなる。
この数値が高ければその選手のオフェンスへの貢献度が高いことを表す1つの指標になるだろう。
[ads]
FTr
【名称】Free Throw Rate:フリースロー率
【説明】オフェンスの中でどの程度フリースローを獲得できるか
計算方法
$$ \displaystyle FTr = \frac{FTA}{FGA} $$
- FTA:Free Throw Attempt(フリースロー試投数)
- FGA:Field Goal Attempt(フィールドゴール試投数)
この数値が高ければ相手のファウルが増え、相対的にターンオーバーが減るという点でいいオフェンスをしているということが分かる。併せてフリースロー成功率を確認することも効果的だろう。
TOV%
【名称】Turnover Percentage:ターンオーバー率
【説明】100プレー中に何回ターンオーバーするか
計算方法
$$ \displaystyle TOV\% = \frac{TOV}{FGA+0.44\times FTA+TOV} \times100 $$
- TOV:Turnover(ターンオーバー)
- FTA:Free Throw Attempt(フリースロー試投数)
- FGA:Field Goal Attempt(フィールドゴール試投数)
分母は「オフェンス回数」を求める式であるが、FGAとTOVが単純にそれぞれオフェンス1回とカウントするのに対し、FTAは少々特別な扱いが必要となる。
フリースローは1・2・3本と種類があるため、フリースロー試投数1本=オフェンス回数1回と単純計算ができない。(例えば、3ポイントシュートへのファウルはオフェンス回数1回でフリースロー試投数3本となる)
詳細は割愛するが、これまでの統計上で試投数に0.44をかけるとオフェンス回数が算出されるというのが一般的な考え方になっているようだ。
この指標は他と違い、高いほどオフェンスが悪いことを表す点に注意が必要だ。
TS%
【名称】True Shooting Percentage:真のシュート効率
【説明】2ポイントシュート、3ポイントシュート、フリースローからシュート効率を測る
計算方法
$$ \displaystyle TS\% = \frac{PTS}{2\times(FGA+0.44\times FTA)} \times100 $$
- PTS:Points(得点)
- FTA:Free Throw Attempt(フリースロー試投数)
- FGA:Field Goal Attempt(フィールドゴール試投数)
分母はシュート回数に2をかけることで、すべて2ポイントシュートだったときの最大得点を算出しており、分子は実際の得点を表している。
つまり、すべてのシュートが2ポイントシュートで成功率100%のときを基準としてどれだけ点を取れているかを表している。
この数値が100ということは1回のオフェンスで2点取ることが期待できるということを意味する。
注意点として最大値が100ではなく150であり、シュートがすべて3ポイントで成功率が100%のとき150となる。
eFG%とTS%
2つのスタッツの違いはフリースローを考慮するかである。
eFG%ではフリースローを考慮しないので純粋なシュート”成功率”が測れる。
しかし、フリースローの確率は他のフィールドゴール成功率より高いのが一般的なので、フリースローの試投数が多く確率が高い選手は低く出てしまう。
一方、TS%はフリースローを考慮したシュート”効率”(=得点の期待値)を測るので、フリースローの試投数が多く確率が高い選手は高くなる。
どちらかを一方を使うのではなく、それぞれの指標の性質を理解して使い分けることが大事である。
PIE
【名称】Player Impact Estimate:推定プレイヤーインパクト
【説明】ゲーム内の出来事にどれだけ関与したか(=どれだけ影響力があるか)
計算方法
$$ \displaystyle PIE = \frac{PTS + FGM + FTM – FGA – FTA\\ + DREB + (0.5 \times OREB) + AST\\ + STL + (0.5 \times BLK) – PF – TOV}{GmPTS + GmFGM + GmFTM – GmFGA – GmFTA\\ + GmDREB + (0.5 \times GmOREB) + GmAST\\ + GmSTL + (0.5 \times GmBLK) – GmPF – GmTOV} \times100 $$
- PTS:Points (得点)
- FGM:Field Goal Made (フィールドゴール成功数)
- FTM:Free Throw Made (フリースロー成功数)
- FGA:Field Goal Attempt (フィールドゴール試投数)
- FTA:Free Throw Attempt (フリースロー試投数)
- DREB:Defense Rebound (ディフェンスリバウンド)
- OREB:Offense Rebound (オフェンスリバウンド)
- AST:Assist (アシスト)
- STL:Steel (スティール)
- BLK:Block (ブロック)
- PF:Personal Foul (ファウル)
- TOV:Turnover (ターンオーバー)
- Gm○○:Game○○ (○○の試合内総数)
試合に対して良い影響の得点やシュート成功に関わるとプラスされ、悪い影響のファウルやターンオーバーをするとマイナスされるという考えで計算された指標となっている。
チームで考えた場合、分母が自チームと相手チームの出来事の合計なので、自チームが50を超えていた時はほぼ勝利を表している。
また、選手で考えると試合に出場する選手は5人なので、1人で10を超えている選手は及第点の活躍をしたといえるのでそこが基準となるだろう。
[ads2]
POSS
【名称】Possession:ポゼッション
【説明】ボールコントロールを得てから相手にボールコントロールが移るまでを1回として、その回数を表す
計算方法
$$ \displaystyle POSS = FGA + 0.44\times FTA + TOV – OREB $$
- FGA:Field Goal Attempt (フィールドゴール試投数)
- FTA:Free Throw Attempt (フリースロー試投数)
- TOV:Turnover (ターンオーバー)
- OREB:Offense Rebound (オフェンスリバウンド)
相手より多く点を取るためにはポゼッションを増やすことも重要となる。ただし、TOVが増えるとポゼッションは増えるが得点は増えないので、TOVではなくフィールドゴールやフリースローでポゼッションを終わることが理想である。
PACE
【名称】PACE:ペース
【説明】48分当たりのポゼッション数を表す
計算方法
$$ \displaystyle PACE = \frac{MPG \times (TeamPOSS + OppPOSS)}{\frac{TeamMPG + OppMPG}{5}} \times100 $$
- MPG:Minute Per Game (試合時間、NBAでは48分)
- TeamPOSS:Team Possession (チームのポゼッション数)
- TeamMPG:Team Minutes Per Game(チームの合計出場時間)
⇒NBAでは基本48×5=240だが、OT (Over Time:延長)に入ると増える
数値が高いチームは1試合で多くポゼッション(≒攻撃機会)があることが分かる。
加えて得点効率も高いようであれば高い勝率につながると考えられる。
PACEと得点効率のどちらに勝因・敗因があるかを分析することが大事である。
DREB%
【名称】Defense Rebound Percentage:ディフェンスリバウンド率
【説明】チームが獲得可能なディフェンスリバウンドの内、どれくらいをディフェンスリバウンドに出来たか
計算方法(チーム)
$$ \displaystyle DREB\%(Team) = \frac{TeamDREB}{TeamDREB+OppOREB} \times100 $$
- Team DREB:Team Defense Rebound(自チームのディフェンスリバウンド数)
- OppOREB:Opponent Offense Rebound(相手チームのオフェンスリバウンド数)
相手チームがシュートを外したとき、①自チームのディフェンスリバウンドとなる②相手チームのオフェンスリバウンドとなるのどちらかである。
つまり、①と②の合計が”獲得可能”なディフェンスリバウンド数の総数となる。
この数値が高ければ相手チームのポゼッションを減らし、自チームのポゼッションを増やすことが出来るという点でディフェンスの良さの指標になる。
計算方法(選手)
$$ \displaystyle DREB\% = \frac{\frac{TeamMPG}{5}}{MPG}\times\frac{DREB}{(TeamDREB+OppOREB)} \times100 $$
- Team MPG:Team Minutes Per Game(チームの合計出場時間)
⇒NBAでは基本48×5=240だが、OT(Over Time:延長)に入ると増える - MPG:Minutes Per Game(対象選手の出場時間)
- DREB:Defense Rebound(対象選手のディフェンスリバウンド数)
- Team DREB:Team Defense Rebound(自チームのディフェンスリバウンド数)
選手のDREB%では対象選手の出場時間を考慮するため、DOREB数が同じでも出場時間が短ければ数値が高くなる。
この数値が高ければその選手のディフェンスへの貢献度が高いことを表す1つの指標になるだろう。
USG%
【名称】Usage Percentage:使用率
【説明】該当選手で終わるPOSSの割合
計算方法
$$ \displaystyle USG\% = \frac{FGA+0.44 \times FTA+TOV}{TeamPOSS} \times100 $$
- FGA:Field Goal Attempt (フィールドゴール試投数)
- FTA:Free Throw Attempt (フリースロー試投数)
- TOV:Turnover (ターンオーバー)
- TeamPOSS:Team Possession (チームポゼッション数)
USG%が高いほど、該当選手でチームのPOSSが終わる=その選手に依存していることを表している。ただし、USG%が高い選手がいることはチームの勝率が高くなることを意味しているわけではない。むしろ、1選手への依存度が高いとその選手の調子が悪かった時や怪我をしたときのリスクが高いので避けたいところだ。
(※PTが短い選手は高い数値が出ることがあるので要注意)
[afi]
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません